i-034  プラン研究 賃貸併用住宅編−01


  これまで、たくさんのゼネコン・設計事務所・ハウスメーカーなどの競合他社と、企画のコンペをしてきました。中でも大手ハウスメーカー数社とは、ほとんどすべての物件で企画を出し合います。もちろん、大手ハウスメーカーは、全国規模で営業しているので、提出している物件数は、比べるまでもありません。
  同じクライアントで同じ敷地でも、提出された内容・プランは会社によって全く違うものになります。ここでは、すでに【Rimson リムゾン】案で建設された物件の企画書を比較検討し、これから建築をされる方々に、プランニングの参考にしていただけるよう試みることとします。
 建設地は東京23区内、駅から徒歩5分、オーナー邸+賃貸住宅の賃貸併用住宅の企画です。敷地は南北に細長い敷地で、東側・西側は境界線付近まで隣地の建物が建っています。
 まずは、下の○○社のプランを御覧ください。
 下の○○社のプランは、駐車台数3台、賃貸住戸7戸、オーナー住居1戸の提案です。
南側(図面の下側)の大通りから見て左側にオーナー住居の玄関・階段・ホームエレベーターを配置しています。建物の南側の間口の半分以上をオーナー住居のエントランスとしているので、最も南側の日当たりのよい部分に賃貸を1戸しか取れていません。従って、1Fに賃貸3戸、2Fに賃貸4戸の合計7戸の賃貸住宅となっています。

 次は、下の弊社【Rimson リムゾン】案を御覧ください。
 下の弊社【Rimson リムゾン】案は、駐車台数4台、賃貸住戸8戸、オーナー住居1戸の提案です。
南側(図面の下側)の大通りから見て右側(東側)からオートロックのゲートを通り、オーナー住居と賃貸マンションのメインエントランスを配置しています。これにより、オーナー住居及び賃貸マンションともにセキュリティーを確保するとともに、建物の南側のもっとも日当たりの良い部分に2戸の賃貸住居を取ることが可能となりました。1Fに賃貸4戸、2Fに賃貸4戸の合計8戸の賃貸住宅となっています。


 次は、賃貸住宅の内部を分析してみます。
 上の図の○○社案(左側)と弊社【Rimson リムゾン】案(右側)を御覧ください。
 上の左側の○○社案(左側)から見ていきます。
 ワンフロアーに4戸の賃貸住居を配置していますが、それぞれの住居が複雑に入り組んでしまっています。また、それぞれの住居内のプランニングも複雑で、特に廊下がかなりスペースを取ってしまい、27.15uの住居で、メインの居住スペースが7.3帖と、この広さの住居としては狭いものになっています。また、東側の2部屋(緑と青で着色の部屋)は、7.3帖と7.4帖の居室ですが、角にトイレの壁が張り出して来たり、隣の住居の風呂場の壁が張り出してきたりと、不整形の使いづらい部屋になってしまっています。

 次は上の図の右側の弊社【Rimson リムゾン】案を見てみます。
  ワンフロアーに4戸の賃貸住居を配置していますが、それぞれの住居の境界壁は直線でシンプルに区分されています。また、それぞれの住居内のプランニングも極めてシンプルで、トイレや風呂、キッチン等水回りをそれぞれの住居内の西側に配置し、それ以外のスペースをすべてメインの居住スペースとしているため、27.26uの住居で、メインの居住スペースが10.8帖と、この広さの住居としてはかなり広いものになっています。また、メインの居住スペースは凸凹のない整形になっているので、住み手が自由に家具を配置して、空間を楽しむことができます。ソファー・デスク・食卓・ベッドなどを好みによって配置し、空間を仕切りたいときは、つい立などで自由に空間を分けることもできます。

 ハウスメーカーなど大手企業は、企業規模が大きいので、効率的に分業が進み、営業担当者が現地でクライアントの希望をヒアリングし、それを本社又は営業所のプラン作成者に伝えるのです。プランを作成する設計者が自分の目で現場を見ていないことも多いようです。
 弊社【Rimson リムゾン】は、営業担当者なるものは存在せず、設計者が直接現場を見て、クライアントの御希望をお聞きして、プランニングをしています。

 
次は、オーナー住居を分析します。上の図の○○社案(左側)と弊社【Rimson リムゾン】案(右側)を御覧ください。
 上の左側の○○社案から見ていきます。
  南側(図の下側)に玄関を配置してしまったため、LDKの内部を通って各部屋に行かなくてはなりません。敷地の西側(図の左側)は、敷地境界線ギリギリに隣の建物が経っていますので、西側に並べられた5つの個室は、窓をとっても光は全く入ってきません。また、140u前後の大型オーナー住居にしては、LDKが11.3帖と極めて小さく、更にLDKの南側(図の下側)には、細い小さな窓しかついていません。この敷地で最も良い方向が、十分な日当たりと、道路から10m下がっているためプライバシーも確保できる南側(図の下側)なのです。

 次は上の右側の弊社【Rimson リムゾン】案を見てみます。
 階段、ホームエレベーター、玄関を中央に配置したので、最も日当たりがよく、道路まで10mのセットバックのためプライバシーも確保できる南側(図の下側)に、21.3帖の広々とした家族だんらんのためのLDKと、クライアント御夫婦の部屋を配置することができました。クライアントの息子様御家族のための4つの個室は、隣地境界線から2mの距離を取った北側(図面の上側)に配置しました。北側は、区の保育園の園庭なので、視界は開けており、園庭の樹木も借景として取り込むことができます。

 プランを作成する設計者が自分の目で現場を見て、自分の耳でクライアントの御希望をお聞きしなくては、本当に魅力ある設計は不可能なのです。
 一般の方は、図面を見ただけでは、どんな建築になるのかを理解することはできません。弊社では、下のような模型を、必ず作成し、外観デザイン、窓の大きさ、内部のプランまで御理解いただけるようにしています。


 
 
  ハウスメーカーやディベロッパーなど中でも大手企業は、テレビCMや新聞広告、モデルハウスなどを使って、クライアントにわかりやすくプレゼンテーションをしています。これから建築をしようと思っている方には、とてもわかりやすく、安心感もあります。その反面、一つ一つの建築のデザイン・設計は、十分に練り上げられた魅力あるプランになることが少なく、画一的なものになりやすいという欠点もありあます。

 弊社【Rimson リムゾン】は、テレビCMも新聞広告もモデルハウスもありません。大手ハウスメーカーやディベロッパーのような安心感をすぐに感じていただくことはとても困難です。従って、私たちにできることは、一つ一つの敷地にお客様の御希望を最大限取り入れた、設計・デザイン・模型などを作成し、その内容で御理解いただくことです。
 現在は、無料で各社が簡単にプランを作成してきます。もちろん弊社も無料で作成しています。無料でも、練り上げた本物のデザインを提案できるのが、私たちの強みなのです。

 通常、建設費は総額でハウスメーカーやディベロッパーなど大手企業が一割程度高くなります。これは、大手企業は規模が大きく、宣伝広告・モデルハウスなどの経費がかさむためです。大手であることによる安心感もまた建築の一部なのです。CMなどによるわかりやすさ、営業マンの対応、モデルハウスなど、大手企業ならではの魅力もたくさんあります。建築は一生に一度か二度の大事業です。選択をするのは、クライアント御自身です。

 


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