i-030  三井不動産レジデンシャル(施工・三井住友建設、杭工事:旭化成建材)の横浜のマンション不同沈下に関する考察

  2014年に横浜市西区にある「パークスクエア三ツ沢公園」(販売:住友不動産 施工:熊谷組 2003年販売)において、建物を支える杭が強固な地盤まで到達していないために、建物が傾くという事象が明らかになりました。
 そして、今回、横浜市都筑区にある「パークシティLaLa横浜」(販売:三井不動産グループ 施工:三井住友建設 杭施工:旭化成グループ 2006年販売)において、杭が、支持地盤まで到達していないために、建物が傾くという事象が明らかになりました。

 建物の不同沈下(傾く)という事象は、地震による液状化や、あるいは、軟弱地盤の宅地開発などにより、これまでもしばしば発生してきました。
 しかし、上記の二つの事例は、かなり大規模な分譲マンションであり、販売も住友不動産と三井不動産という、日本を代表するディベロッパー企業の開発・販売であり、施工も熊谷組、三井住友建設というそれぞれ、大手ゼネコンが施工を行っておりました。「パークシティLaLa横浜」では、傾きの原因となった杭の工事を旭化成グループの旭化成建材が担当していました。いずれの会社も、一般の方々からすると、名の通った大企業であり、その衝撃は計り知れないものであると思われます。

 デフレが世の中を覆い、建設費が暴落し、マンション価格も低位推移する中、建設業界では、過度な低価格受注競争が激しさを増し、実際に工事を施工する末端の下請け業者は、赤字受注を繰り返すという状況も続いていました。また、建設市場が縮小する中、ゼネコンの技術者、各工事の職人の技術力の継承にも断絶が水面下で進行していました。
 また、設計段階・見積段階では、決定できない現場で適切に変更を要する工事の予算計上もままならない状況も、問題の発生に影響を与えているものと思われます。
 特に、地盤の問題は、地質調査とは違う状況に至った場合に、工事をストップし、杭の長さを変更する必要があり、また、そのための追加費用が必要になります。そういった、現場での適切な対応に要する時間とコストは、無視され、下請け任せにされる状況も珍しいことではないと思われます。
 以下に、今回の建物が傾くという悲劇を分析し、その原因と思われるものを明確化することとします。
 
  私は、今回のような事象を想定し、お客様に、地盤の状況により、建物の安全性を確保するための方策を実施するために、追加の費用と時間が必要になる可能性があることを、必ずお伝えし、見積書にも明記することにしています。地盤の状況による変更は、わかりやすく御説明をすれば、100%のお客様が御理解をしてくださいます。
 また、このような現場で発生する対応事項に関して、クライアントのみならず、行政も臨機応変に対応しなくてはなりません。杭を1本、所定より長くすることで、行政手続きが手間取り、工期の遅延につながるようであれば、手続を後回しにしてでも、必要な措置を講じなければ、建物の安全性は保てません。
  姉歯事件以降、確認申請の手続きに異常に時間がかかり、また、現場で少しでも変更をすると、工事をストップして、申請をし直さなくてはならないという時期がありました。この時期に建築された建物は、現場での必要な変更を実施することが非常に困難であったと思われます。
 建築の構造的安全性に関わる工事や設計は、後で取り返しのつかない最重要工程です。建築の資産的価値の90%がここにあるといっても過言ではありません。ところが、一般的には、最も評価されにくく、従って、総コストにおいて、いかに構造的コストをダウンして、タイルやシステムキッチンや大理石などの化粧にコストを振り向けるかという状況がずっと続いています。こういう悲劇が起こると、しばらくは「構造・構造」、「杭・杭」と注意を向けられますが、残念ながら、あっという間に忘れられ、再び同様の悲劇が繰り返されてきました。
 また、姉歯事件も今回の事件も、すべての物件が、確認申請許可を通過し、中間検査・完成検査も合格し、検査済証の交付を受けているということです。最近では、設計基準や施工基準も詳細に整備され、工事途中の施工データや工事写真の提出義務など、細部にわたっています。ここで大きな問題が生じています。例えば、学校で、教師が上司や教育委員会への提出書類が多すぎて、最も大切な生徒たちと時間を過ごすことが、後回しになっているという教育現場の大問題との類似性を感じるのです。若い先生は、子供たちへの教育法、スタンス、子供の小さな変化を察知し対応するなど、教育の現場で身に付けなくてはならない重要スキルを身に付けられず、提出書類の書き方を覚えることに四苦八苦しているのです。建築の現場も同様です。現場で問題が発生したときの対応において、優先順位が本末転倒しているのです 。

本来の優先順位
建物の安全性と建設現場の安全性 = 建築物の品質 > 工期orコスト
(この優先順位が、お客様、設計者、施工者、下請け業者そして行政サイドの全てが持つべき共通認識とならなければ、このような問題は再び発生することになります)
                                
                             ▼
問題が発生する優先順位
工期orコスト >>>>>  建築物の品質 > 建物の安全性と建設現場の安全性

(この優先順位は、お客様にとって、安くて早いという魅力的なものです。しかし、建築はファーストフードではありません。今回のように建築の構造そのものに欠陥が発生したら、どんなに安くても、どんなに早くても、何にもならないのです)


・皆さんは、建築に際して、杭や基礎や柱・梁などの構造体より、システムキッチンや玄関の大理石や外壁タイルなどの化粧や床暖房などの設備にばかり目が行っていませんか? 

皆さんは、見てくれがいい、聞こえがいい、価格が安い、工期が短い、そんな理由で建築会社を選んでいませんか?

皆さんは、会社の大きさや、テレビコマーシャルで、建築会社を選んでいませんか?






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