i-013-04 建築づくり 失敗しますか?
阪神淡路大震災の悲劇 鉄骨造
−本文−
地震には強いとされていた柔構造の鉄骨造の被害も甚大なものでした。柱が基礎アンカーから引きちぎられ完全に倒壊したもの、柱と梁をつなぐ溶接部が破断し、建物全体が倒壊寸前のものなどが主な被害状況となっています。ボルトが締まっていなかったり、突き合わせ溶け込み溶接とするべきところをすみ肉溶接で済ませていたり、アンカーボルトの位置がずれてしまって切断されていたりと、根本的な施工技術・知識が欠落しているような状況があまりにも多いことに驚かされます。鉄骨造に限らず、設計者・施工者のみならず、一般の方々も建築に対してもっと厳しい対応が必要とされているのではないでしょうか。
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鉄骨造の被害の原因は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、根本的な溶接不良又は、溶接の手抜きです。どんなに強いH形鋼を使っても、接合部の溶接がきちんとできていなければ何にもなりません。
2つ目は、建築基準法ぎりぎりの構造設計による、柱・梁の強度不足です。
1つ目の手抜き・不良溶接は、それを許さない監理と発注形式の見直しを実施しなくてはなくなりません。みなさんは建設会社や工務店は選びますが、実際に鉄骨工事をする鉄骨屋さんを選ぶことはなかったと思います。これからは、どの鉄骨屋さんにいくらで発注するのかチェックしなくてはなりません。ただ安いだけの鉄骨屋さんに熟練された一流の溶接工がいるはずはありません。
2つ目の構造設計に関する問題は、設計者がどのような安全率をみて設計しているのかチェックしなくてはなりません。一級建築士だからといって、みんなきちんと設計をしているわけではないのです。これは自動車の運転と同じです。免許証はみんな同じですが、その運転御術は千差万別なのです。また、柱・梁を大きくすればそれで良いと言うことでもありません。地震動そのものを制御する制振構造・地震の揺れを建物に伝えにくくする免震構造など、構造形式自体の検討も重要なことです。腕や足がいくら太くても、十分な筋肉が伴わなければ、太くなった分、むしろ負担が増大しているだけということになります。筋肉も強いだけでなく、柔軟なものでなくてはなりません。建物の構造も全く同じことがいえるのです。
参考文献 引用 写真
大震災で壊れた建造物 : 第三書館 : 阪神大震災の被害写真満載
日経アーキテクチュア : 日経PB社 : 隔週発行の建築雑誌・デザイン偏重の建築雑誌の中にあって、建築をその経済性・社会性から分析
阪神大震災の教訓 : 日経PB社 : 阪神大震災の被害を専門家のレポートを交えてまとめている
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